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「 電子たばこ 」はメリット、デメリットどっちが多い?

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更新日

 
執筆:井上 愛子(保健師)
 
 
VAPE(ベイプ)をご存知ですか?欧米では若者を中心に人気が高く、日本でも注目されだした「 電子たばこ 」のことです。
たばこによる喫煙を smoking と言いますが、電子たばこの吸引は vaping(ベイピング) と呼ばれます。
ベイプとはどのようなものなのでしょうか。
 
 

「 電子たばこ 」という名称

 
電子たばこ(e-cigarette;e-cig)の通称が vape です。Vapeは英語では「蒸気」を意味するコトバです。
アメリカ人H.ギルバートが開発し、特許を取ったのは1965年のこと。2013年ころからGoogleトレンドで検索ワードに登場し、ユーロモニターの調査では2014年度の欧米市場での売り上げは約3500億円と言われています。
 
米国が最も売上高が多く、次いでEU(約1000億円)、そのうち、英国での売り上げは約300億円とのこと。
2017年には、世界の市場規模は約1兆円に達するという予測もあります。既存のたばこ市場を上回り、たばこにとって代わるかもという見方も業界での共通認識になりつつあるようです。
 
ちなみに、WHO(世界保健機関)は電子たばこを「電子ニコチン伝送システム;Electronic nicotine delivery 」と呼んでいるそうです。
 
 

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電子たばこ:日本では「ニコチン」はNG!

 
日本でも電子たばこは製造・販売されています。ただし、薬事法によって「ニコチン」が使用できません。
この点は海外とは事情の異なるところです。海外の製品にはニコチンの含まれるものもあるので、通販や輸入の際には注意する必要があります。
 
 

電子たばことたばこの違い

 
たばこは、ライターなどで火をつけて、ニコチンやタールなどが含まれるタバコの葉と包んでいる紙などの「煙」を吸引しますが、電子たばこの場合は、吸入器によって、さまざまな味や香りをつけた「水蒸気」を吸引します。
その際、カートリッジに入った液体がバッテリーで加熱され、霧のような煙を出す仕組みになっています。最近では、色も形もお洒落な吸入器も販売されています。
 
このように火を使わないで電気を使う、日本ではニコチンやタールが含まれない、また、たばこ臭さのかわりに、お好みのニオイを楽しむことができるといったところに、たばことは違う電子たばこの特徴があります。
 
 

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VAPEの構造:3つの部品からできている電子たばこ

 
葉巻型、パイプ型、紙巻きたばこ型など、従来のたばこを模した型は多様ですが、一般的な電子たばこは3つの部分からできています。「カートリッジ」「アトマイザー(変霧器)」「バッテリー」です。
アトマイザーとカートリッジを一体化した「カトマイザー」もあります。
 
 
カートリッジ
タバコなら吸い口(フィルター)に当たる部分です。綿状のものが中に入っていて、香りのついた液体(リキッド)を染み込ませ、アトマイザーへリキッドを送ります。
 
アトマイザー
煙を噴霧する装置で、発熱してリキッドを気化し、ミストを生成します。
 
バッテリー
電圧が5V以下のものが奨励されています。
 
その他
以上に加えて、充電ケーブルやアクセサリーも各種販売されています。
 
 

電子たばこ:リキッドの香りと霧、女性にも人気の秘訣?

 
リキッドは香りのついた液体で、アトマイザーに入れて発熱して蒸気を発生させます。
たばこ味のフレーバーのほかにも、フルーツやスイーツの香りなどヴァラエティー豊かな香りを楽しめるというのが、女性にも人気の理由のようです。ただし、粗悪品があったり、海外のものだと日本で禁止されているニコチン入りもあるので、気をつける必要があります。
 
 

一般電子たばこ工業会(JECIA)

 
電子たばこの表記統一や安全管理、技術の向上など、電子たばこの製造販売業界の総合的向上を目指して、2010年10月に「一般電子たばこ工業会」が設立されました(参照※)。未ださまざまな規制がない中、安全で粗悪でない製品を選択するのに、ここに参加している企業や、発信される情報を参考にすると良いとのこと。
 
 

電子たばこっていくら?高いのか安いのか?

 
カートリッジ、アトマイザー、バッテリーなど基本的な「スターターキット」は、標準的なものだと初期費用として5000円~10000円ほどかかります。リキッドは1本50ミリリットル3000円として、たばこ1000本分に相当するとのこと。
 
たとえば「メビウス」(JT製)を1日一箱吸っていると600本で、ひと月約12900円ですから、比べてみて、高いのでしょうか?それとも安いのでしょうか?
 
 

電子たばこの4つのメリット

 

たばこよりも健康被害の危険性が低いと言われる

従来のたばこに含まれているタールや一酸化炭素など有害物質が含まれていないので、がんやCOPD(慢性閉塞性疾患)を発症するリスクが低いとされています。また、日本ではニコチンも禁止されているので、薬物依存症の心配がありません。
 
 

受動喫煙の迷惑もない

たばこの場合、副流煙による受動喫煙によって、喫煙者本人よりも周囲の人ががんなどに発病するリスクが喧伝されています。電子たばこではこの心配がありません。ただし、香りの好みは十人十色なので、本人は「香しい」と楽しんでいても周囲がそれを「悪臭」と敬遠することはあり得ます。
また、喫煙は最近特に場所が限定されていますが、電子たばこにはその規制がないので、vaping にはたばこ以上のマナーが求められます。
 
 

吸い殻のポイ捨てや残り火の不始末の問題がない

環境問題ともいえる吸い殻のポイ捨て。これが電子たばこでは起こりませんから、仮に全員がたばこから電子たばこに変えると、吸い殻や吸い殻入れは必要がなくなります。
また、残り火による火災や、子どものやけどなども少なくなるでしょう。
 
 

長期的にはコストも安い

愛煙家にとっては、たばこから電子たばこに乗り換えることで、長期的にはコストを安くできることがメリットと思っている人が多いようです。
 
 

電子たばこの3つデメリット

 

安全性の問題

製造・販売の歴史が浅いためか、アメリカFDAへのクレームも増えているようです。
品質も多様なようで、いわゆるピンからキリまであって、リキッドの粗悪品、カートリッジに入れる化学物質、アトマイザーの使用過多による健康被害への影響など、安全な使用に向けてこれから整備していく必要が多いことが挙げられます。
 
 

本当に健康被害が少ないかどうかはわからない

WHOは、科学的に安全性が証明されていないこと、ニコチン以外の有毒化学物質の存在を示していて、電子たばこの使用に関してポジティブではありません。発がん性や毒性について、今後、検証される必要が急務です。
また、ニコチンによる薬物依存症からは解放されますが、「吸う」という行為への依存は、たばこから電子たばこに変えても依然、続く危険性があります。
 
 

マナーや規制がハッキリしていない

たばこと違って吸煙に年齢制限がないこと、吸煙する場所についても規制がないことなど、かなりマナーがしっかりした人でないと、周囲に迷惑をかける機会が増えることも懸念されます。
特に欧米では、若者が電子たばこを吸うことで、喫煙へのゲートキーピング(導入)の役割を果たしてしまう、といった社会問題も生じているようです。
 
 

電子たばこ:まとめ

 
ここで、電子たばこについて、簡単にまとめてみましょう。
 
・日本の電子たばこは、薬事法でニコチンの使用が禁止されているが、海外の電子たばこの中には使用されているものもあるため、輸入時には注意が必要。
 
・電子たばこは、火を使わず電気を使い、さまざまな味や香りをつけた水蒸気を吸引する。
 
・一般的な電子たばこは、「カートリッジ」「アトマイザー(変霧器)」「バッテリー」という3つの部分からできている。
 
・アトマイザーに入れるリキッドの種類を変えることで、フルーツやスイーツなど、さまざまな香りを楽しむことができるため、女性にも人気が高い。
 
・電子たばこの基本的なスターターキットの費用は、だいたい5000~10000円。
 
・電子たばこのメリットは、従来のたばこよりも健康被害の危険性が低い、受動喫煙の迷惑がない、吸い殻のポイ捨てや残り火の不始末の問題がない、長期的にはコストが安い点
 
・電子たばこのデメリットは、品質の安全性が完全に確保されていない、健康被害の少なさについての検証が不十分である、マナーや規制がハッキリしていない点
 
たばこは嗜好品です。電子たばこも同様でしょう。しかも、未だ興味をもたれ、少数の愛好家がいる状況です。マナーや安全性など、安心して本人も、そして周囲も、電子たばこを吸っている光景を見るのは当分先のこととなるでしょう。
Smoking が喫煙という日本語になったように、vaping がだれでも知っている日本語になる日はいつのことになるでしょうか?
 
 
<参考>
※http://www.jecia.jp/
http://recreation.pintoru.com/vape/safety/
http://www.pipe-m.com/page/34
http://vape-collection.com/navi/?p=47
http://xn--nckl9as4aa8bycvkf8hs964bsg8atl0cu2a9002bok2a.com/vape/
http://www.densitabako.net/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E3%81%AE%E8%AA%AC%E6%98%8E/
 
 
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師、助産師、看護師、保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
 

オススメリンク

 
関連した情報として以下のようなものがありますので、ご参考にしてください。
 
「電子タバコの安全性 について考えてみましょう!」
 
「電子タバコの発がん性物質 !?タバコそのものの毒性とは?」
 
電子タバコ一部製品に発がん物質が含まれている旨のニュース動画(2014年11月27日)もご参考にしてください。

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